生きることにおける理論と実践

日常生活が下手すぎる人間が、いろんなコンテンツを摂取しながら、生きることについて考えては実践し、実践しては考えるブログ。迷いながらも少しずつ進めたらいいね。

TrySailのライブを最前列ドセンで見たこと

こんなこと今後の人生でもう二度とないかもしれないので、備忘録として書きます。

※念のため、TrySailを知らない方へ。TrySailミュージックレイン所属の声優である麻倉もも雨宮天夏川椎菜によるユニットで、アーティスト活動を行っています。公式によれば「トライアングルガールズユニット」らしい。公式サイトはこちら。

TrySail Portal Square (トライセイルポータルスクエア)

 

2021年11月11日(木)の夜、私は次の日に参加する「LAWSON presents TrySail Live Tour 2021 "Re Bon Voyage"」東京ガーデンシアター公演1日目の電子チケットを確認していた。

そこには「アリーナ Bブロック1列目11番」と書いてあった。もしかして、と思ったが、東京ガーデンシアターの座席表を見る限り、ステージとBブロックの間にXBブロックなるものが7列ほどありそうだったので、あまり期待はしていなかった。それでもなかなかいい席だな、すごい、とは思った。

 

日は変わってライブ当日の2021年11月12日(金)。

開演前にトラセ女ヲタ友達たちと話していて、「席、アリーナのBブロック1列目らしいんだよね。まあその前にXBブロックってのがあるらしいけど…」とこぼしたら、ある人が「もしかしたら(一番前のブロックは)潰してるかもよ。そしたら最前かも」と言った。私は、え、そんなことある?という気持ちと、いやあり得るかもしれないよな、今回のツアーのセット結構縦幅とるし…という気持ちが混在して、期待半分、でも期待しすぎると落胆も大きくなるのでこの時点では席のことはあまり気にしないように努めていた。

 

ようやく開場して、アリーナAL3扉を通って席を探した。

最初に目に飛び込んできたのはAブロック。その時点で(XAブロックがなかったので)自分の席が最前列であることを確信した。そのまま中央に進むと、Bブロック。

東京ガーデンシアターのアリーナの座席は、大まかに下手側からAブロック、Bブロック、Cブロックだった。(下記図参照)

https://www.music-mdata.com/seat/27706.pdf

この座席表のような配置で、XA・XB・XCブロックは潰れていて、そして私はBブロック1列目11番。

これは紛れもない、最前列センターだ。完全にステージの0番(中央位置)の真前だ。ゼロズレだ。ゼロズレすぎる。

さすがに興奮した。実際に座ってみると、当然のことだが遮るものが何もない。自分とステージの間に見えるのは、モニターに映像を抜く用のビデオカメラと、ツアー写真集用の写真を撮っているカメラマンさんだけ。こんな状態で、この距離で、TrySailの3人を目の前で見たら、どうなってしまうんだろうと思った。連番相手の悪友氏(悪友氏については過去に書いたこの記事参照)は、「私今日死ぬのかな……」と彼方を見つめてつぶやいていた。

 

興奮しつつも、Re "Bon Voyage"にかけて(だと思う)会場に流れているイタリア民謡のBGMを聞くことで、ムードを感じて少し心を落ち着けた。それでも動悸は止まらない。でも努めて平静を装おうとした。

開演が押していた。開場が押していたので無理もなかった。開演時間定刻は18:30だったが、結局18:40を少し過ぎた頃に客電が落ちて、ライブが始まった。その間ずーっとそわそわしていた。

 

そこから先は、正直記憶が定かではないところが多々ある。連番していた悪友氏もツイートしていたが、「最高の瞬間が次から次へと襲って」きて、ライブが終わった頃には細かい記憶は遥か彼方にいってしまっていた。

自分たちの前にサイリウムの海も見えず、ただひたすら目の前で展開するTrySailの3人の変幻自在なパフォーマンスをまなざすことしかできない状態に置かれた私は、その光景を目に焼き付けなければ、そしてこんな体験をすることはもう二度とないかもしれないのだから今この瞬間を十全に楽しまなければという気持ちでいっぱいで、目の前でいろんなことがたくさん起こったにもかかわらず、それを頭の中の記憶装置にメモする余裕はまるでなかった。

ひたすら振りコピをいつも以上に頑張りながら(やっぱり演者が目の前にいると、単純に身体の動きがよく見えるのもあって振りコピしやすくて、しかも振りコピしてるとレス的なものをもらえたりもするし、ついつい目の前のメンバーの身体の動きに自分を同期させようと普段以上に頑張ってしまった)、自分の手振りとサイリウムにすべての気持ちを乗せて、「今、ここ」しかないライブの時間を楽しんだ。

 

ただ一つ、強烈に印象に残った、最前列を経験してみて初めてわかったことがある。

それは、TrySailの3人は本当にちゃんと客席に「レス」を送っているということだ。それだけならまあ当然かもしれないが、それもかなり細かく、「今はこの人に」と一回に一人ずつを狙い撃ちにしてレスを送っている。そのことが今回本当によくわかった。

最前列にいると、どのメンバーがどのあたりに(場合によっては「誰に」)レスを送っているのかがよくわかる。自分に送られている時もわかるし、隣の悪友氏に送られている時もよくわかった(「ひだまりの場所」で悪友氏が夏川椎菜さんから明確に微笑みかけてもらって、悪友氏が涙ぐんでいた時には、隣の私までうるうるしてしまった)。そこまで細かくはなくとも、今は私の斜め後ろあたりに送っているな、今はアリーナではなくてバルコニー席の方の誰かに送っているな、というのが驚くほど手に取るようにわかるのだ。

レスをもらった気がしても、普段であればヲタク特有の「いや勘違いかもしれない…」精神が頭をもたげるわけだが、最前列にいると、遮るものが何もないので勘違いのしようがない。一方で自分たちのほう(下のほう)を見ていない時=遠くのほうにレスを送っている時がよくわかるからこそ、その反対に目線を下に下げて私たちのいる位置に合わせてくれた時にも本当によくそのことがわかってしまう。

素晴らしい体験なのだけど、ある意味ちょっと怖いぐらいだった。遮るものがないというのは怖い。それは、私たちのほうからも当然メンバー3人がよく見えるが、メンバー3人のほうからも私たちのことが遮るものなく真前に見えるということなのだ。演者の側から明確に「まなざされている」と感じるという稀有な体験を、このライブの中で何回かした。

 

メンバーごとのレスの傾向もちょっと見えてきて、それも興味深かった。

私の現在の一推しである夏川椎菜さんは、最初の数曲の間は前のほうの人たち(含む私たち)に重点的に目を配ってレスを送ってくれていたように感じた。その後は、基本的に、少し遠くの人たちに目線を合わせにいっていることが多いように思った。それは意識的に、遠くの人にもパフォーマンスをちゃんと届けようとしてやってるんだろうなと思った。夏川さんは、指差しをしたり、目を細めた笑顔を向けてくれたりすることで、レスをする時にはかなり明確に「この人」とわかるようにやってくれているように感じた。

雨宮天さんは、振りコピをしていると大変喜んで「いいねいいね!」という感じの表情でレスを送ってくれることが多かった。客側の動きが特によく見えるのは前のほうの席なので、そのモードの時はわりかし前のほうの人たちを見てくれていたことが多かったと思う。一方、もちろん後ろの人たちにも目配せは忘れておらず、主に拳を突き上げて「はい!はい!」と煽る時や、あとは天さん名物のアンコール等での大きな動きで手を振るやつの時などに、上の方の隅々まで目線を配っていることを感じた。

麻倉ももさんは、教科書のように基本に忠実に踊る人で、その完成度高いパフォーマンスが魅力の一つなのだけど、だからこそ明確にレスを送るというような場面は他の2人に比べると少なめだったようにも感じた。ただ、正直それは私が夏川椎菜さんに気を取られすぎていて麻倉さんのことをそこまで頻繁に見られていなかっただけかもしれない。でももちろん、合間を見つけて、時々きちんとファンへの目配せも行っていた。私が見ていた限りの場面では、特にピンク(麻倉さんのメンバーカラー)のサイリウムを振っている人には、隙間時間(?)を見つけて重点的に手を振ったりなどのレスを送っていたように思った。すごく自分のファンを大事にする人なんだなと思った。

ともかく、それぞれやり方は違えど、前のほうの客から後ろのほうの客まで、できる限り平等に「見て」、レスを送ろうとしている姿に、じんわり感動した。

 

そして、これはとても重要なことだが、今後少し遠い席でライブを見る時にも、もし「今、メンバーと目が合ったかもしれない」「レスをもらったかもしれない」と感じたら、あまり「勘違いかも…」などと疑いすぎず、素直に喜んでいいのだということがよくわかった。たいへん大事な学びだ。

演者は本当に、遠くの人にもレスを送っているし、目が合ったと思ったらそれは基本的には本当に合っている。

そのことを否応なく身体的に理解させられただけでも、今回、最前列ドセンでライブを見るという経験ができて本当に良かったと思うし、この経験に基づく学びをいろいろなヲタク友達に伝えたいと思った。

 

ありがとうTrySail。「生きてて良かった」と心の底から思える瞬間を体験できたこと、そのすべてを3人が形作ってくれたことに、本当に感謝しています。

最後に、完全に私的な話になってしまうが、自分に送られたと感じたレスで特に印象に残ったもののことを備忘録として書いておきたい。

「バン!バン!!バンザイ!!!」の1番サビ最後の「ババババン!ババン!バン! バン!! バンザイ!!!」のところで、右手を揺らす振りをナンちゃん(夏川椎菜さん)が一緒にやってくれたこと。アンコール後の最後の挨拶の時に3本の3色サイリウムで三角を作ったら、ナンちゃんが指で三角を作ってそれに応えてくれたこと。

「Favorite Days」のサビの「(I wanna I wanna I wanna do ぜんぶ!)」のところで、エアギターかきならす振りコピをめっちゃ一生懸命やっていたら、天さん(雨宮天さん)が目を合わせてきてくれて、「いいね!」と言うかのように微笑みかけてくれたこと。

どの曲だったか忘れたけど、思いっきり黄色のサイリウム振ってた私なのに、もちさん(麻倉ももさん)が私に向かって手を振って目線を合わせてきてくれたこと。

生涯忘れません。本当に本当にありがとう。